長編


作品の変遷


Joyleg
(1962, Ward Mooreと共作)

Mutiny in Space
(1964)

Masters of the Maze
(1965)

Rork!
(1965)

Rogue Dragon
(1965)

The Enemy of My Enemy
(1966)

The Kar-Chee Reign
(1966)

Clash of Star-Kings
(1966)

The Island Under the Earth
(1969)

The Phoenix and the Mirror
(1969)

Peregrine : Primus
(1971)

Ursus of Ultima Thule
(1973)

Peregrine : Secundus
(1981)

Vergil in Averno
(1987)

Marco Polo and the Sleeping Beauty
(1987, Grania Davisと共作)

The Boss in the Wall
(1998, Grania Davisと共作)

The Scarlet Fig; or, Slowly Through a Land of Stone
(2005)


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星王たちの抗争

Clash of Star-Kings (1966)


 メキシコ・シティから少し離れた山間の町、ロス・レメディオスは、〈聖なる山の隠者〉祭を間近に控えて、活気だっていた。
 この山が聖なる山(モンテ・サングラード)と呼ばれているのは、山中にアステカ神話の雨の神トラロックの石像があるという言い伝えがあるからだ。どこかの洞窟のなかに、トラロックの頭部が置かれている。一説によると、地中には全身像が埋まっているという。
 そして、隠者というのは、本名はわかっていない。インディオの神官だったが、スペイン人の侵略の後、カトリックに改宗し、フアン・フェルナンドと名のった。カトリック教会に認められた聖者ではなく、カトリックの神父でさえなかったが、地元では聖人のようにあがめられている。
 隠者の亡骸はいまも腐らずに残っており、祭りの夜、ガラス・ケースに入れられて、町を練り歩くのが慣わしだった。

 いよいよ〈聖なる山の隠者〉祭が始まり、マーチング・バンドの音楽とともに、隠者の亡骸を入れたガラス・ケースの棺が町を練り歩く。メキシコ最古のインディオ、モフトミ族の血を4分の1引く青年、ルイス・ロレンツォ・サンタゲルもパレードのあとをついていった。
 西側の貧民街にさしかかると、そこの住民が棺を奪おうと襲ってくる。インディオの末裔である彼らにとっては、隠者は裏切り者だからだ。
 この騒ぎは毎年のことだったが、今年はいつもより激しく、ナイフを持った者もいて、流血沙汰になる。大騒ぎのなか、隠者の棺が地面に落ちる。
 そのとき、ルイスは信じられないものを目撃する。隠者の亡骸が棺から立ち上がり、森の奥へ歩み去っていったのだ!

 ルイスが隠者を追いかけていき、モフトミ族の集落にたどり着く。モフトミ族の民が取り巻くなか、隠者が立っており、そのそばには金色に輝く巨人が数人いる。モフトミ族の神話に伝わる〈大いなる古き者〉だ。
〈大いなる古き者〉は、ルイスもモフトミ族の血を引くことを悟り、金色の不思議な装身具をくれる。ルイスは装身具を持ったまま、深い眠りにつく。

 同じ日の深夜、ロス・レメディオスに暮らすアメリカ人夫妻、ジェイコブ・クレイとセイラ・クレイは、不思議な歌声で目を覚ます。飼い猫の姿が見えないことに気づいたセイラは、歌声につられて出ていったのではないかと考え、ふたりで歌声のあとを追いかけることにする。

 ふたりであとを追いかけてみると、森の奥で、コヨーテの毛皮をかぶった一団を見つける。隠れて見ていると、一団の中央に立っていたのはアステカ族の神、ウィチロポチトリ*1そっくりの人影だった。

 明け方近く、家に戻ったクレイ夫妻は、玄関の前で飼い猫の死体を発見する。飼い猫はアステカ族の生贄の儀式そのままに、心臓をえぐり出されていた。

 ルイスはモフトミ族の集落で目を覚ますが、集落には誰もいない。昨夜見たものを確かめるため、ルイスは山頂のほうへ歩き出す。
 ところが、森のなかで、ルイスは3人の男たちに捕まってしまう。ひとりは見覚えがあって、貧民街に住むアステカ族インディオだ。ルイスは縛り上げられ、山頂近くの高原に連れていかれる。

 そこにあったのは、アステカ族のピラミッド。古びてはいたが、遺跡ではなく、いまでも使えるように整備されている。もちろん、生贄用の石台も……。
 3人のアステカ族が神への賛歌を歌い踊ると、神殿の扉が開き、なかからアステカの神、ウィツィロポチトリがあらわれる。ルイスは自分の運命に気づいて、絶叫する。

「すべて準備は整った」と、ウィツィロポチトリは非人間的な声で言う。「だが、ただひとつ欠けているものがある。〈トラロックの心臓〉だ。なんとしても探し出さなければならぬ」
「それが見つかれば、ふたたびわれわれがこの地を支配できるようになるのですか?」アステカ族の男が訊ねる。
「望みはすべてかなうであろう」
「わかりました! 必ず探し出します。その前に、どうか生贄をお受け取りください」
 アステカ族の男はナイフをふるい、ルイスの心臓をえぐり出そうとするが、ウィツィロポチトリが止める。
「待て」ルイスが持っている金色の装身具に目をつけて、「これは、おまえたちが〈大いなる古き者〉と呼ぶやつらのものだ。この者を離してやれ。われらの最終的な目的は〈大いなる古き者〉を打ち倒すことにある。やつらに感づかれるとまずい」

〈大いなる古き者〉とウィツィロポチトリは、いったい何者なのか? そして、石像の下に隠された最終兵器〈トラロックの心臓〉とは?


*1 ウィツィロポチトリ

 アステカ神話に登場する南方を守る青い神。男、女、大人、子供とすべての人間をいけにえとして好む神である。